株式会社アルモア

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アルモアハードケース仕様説明

ケースとは、中に入るものを保護するものであり、持ち運びや保存に便利なものです。
ケースにもいろいろ種類があり、ソフトケース、セミハードケース、ハードケース等、用途によって使い分けます。また、ハードケースにもいくつか種類があります。プラスチックなどの樹脂や、アルミ板などの金属を、型を使って成型した「成型もの」や、ベニヤ板などの基本材料の表面に、樹脂や金属の板を補強及び化粧として貼り付けたものなどがあります。アルモアでは、主にベニヤ板を基本材料とした複合材料を使用しています。また、ケースを構成するパーツ類も豊富で、用途によって使い分けます。
ここではアルモアケースを、より深くご理解いただけますよう、仕様やパーツ類についてご説明いたします。

板材質

ハードケースの表面材は、ベニヤと化粧板の複合材が多く使われます。
化粧板は、FRP、ABS、アルミ、合皮、プラニュウム、デコラ、メラミン等、数多くありますが、アルモアでは、FRP、ABS、アルミ、硬質塩ビレザーを主に使っていいます。
次に、アルモアケースの表面材のラインナップをご紹介いたします。

FRP(Fiberglass Reinforced Plastics)

プラスチックをガラス繊維で強化した材料。複合材であるため強度、剛性にすぐれています。
漁船やプレジャーボートなどに使われているのは、よく知られていますが、最近では、自動車、鉄道、航空、宇宙などの分野でも、多く使われるようになりました。 アルモアケースに使用しているものは不飽和ポリエステルベースで、耐寒性はマイナス40℃で使用可。連続耐熱は200℃以下。ご注文の際は、色番号でご指定ください。

カラーバリエーション
  • 01ブラック
  • 02ダークグレー
  • 03グレー
  • 04ブルー
  • 05ダークブルー
  • 06ライトブルー
  • 07グリーン
  • 08ライトグリーン
  • 09イエロー
  • 10レッド
  • 11オレンジ
  • 12ホワイト
  • 13パープル
  • 14ピンク

ご覧の環境により、実際の色調と異なる場合がございます。

ABS(アクリルニトリルブタジェンスチレン)樹脂

在庫色は黒。
ポリスチレン(スチロール)は、着色や成型がしやすく安価ですが、もろく衝撃に弱い。この点を改良したものがABS樹脂です。しかし強度や剛性はFRPに劣ります。熱変形温度は89℃。

アルミ

アルモアケースではアルマイト加工を施したものと、そうでないもの、またエンボス(表面がざらざら)のものを使用しています。アルマイト加工をしていないものはピカピカしていますが、時間がたつと錆びて黒っぽく変色することがあります。
余談ですが、俗に「ジュラトラ」と呼ばれているトランクケースがありますが、その多くは、ベニヤにアルミ板を貼り付けたものです。実際のジュラルミンは、アルミと銅の合金で、強度や切削性に優れていますが耐食性に劣り、防食処理を施さなければならないので、高価なものになるため汎用性に欠けます。

硬質塩ビレザー

在庫色は黒。
ポリ塩化ビニル(PVC)の硬質品です。安価ですが強度や剛性は期待できません。化粧のために貼るものだと考えてください。65℃~85℃程度で軟化、170℃位で溶融してしまいます。

金具

箱の形に成型された板には、補強のためにアルミサッシや角金が取り付けられます。そして、蓋と身の勘合部には錠前や蝶番、運搬しやすいように取っ手やキャスターなど、さまざまな部品が取り付けられます。
強度や利便性を向上させる、いろいろな部品をご紹介いたします。

アルミサッシ

アルミサッシには、ケースのコーナーを補強するためのL型のアルミサッシ、ケースの勘合部に使われるオスメスサッシ、FLラックやショックマウントラックの小口、穴あけ加工開口部などの、補強化粧をするためのチャンネルサッシ等があります。

角金

ケースの角についている補強のための金具です。
蓋と身の勘合部の角にも、L型のものがつきます。
三方角金には平らなものと、角がこぶ状の大きな衝撃を吸収したり、底鋲の代わりをしたりします。
平角金は、ケースを少ないスペースに置くときなど、極力出っ張りを少なくしたいときに使います。

ロック(錠前)

蓋と身をきっちり勘合させるためには、錠前金具が必要です。錠前といっても実際に鍵がついているものといないものがあります。実際に鍵がついているものは管理上は役に立つのですが、盗難防止には役に立たない場合が多いようなので、お勧めはしておりません。かえって、鍵をなくして困る場合があるようです。盗むのであれば、ケースごと盗んだほうが持ち運びに便利ですから・・・。

蝶番

蝶番には大きさによって数種類あります。蓋が120度程度で止まるような、ストッパー付き蝶番や、蓋と身を取り外すことのできる取り外し蝶番、長い面でガッチリ止める長蝶番などがあります。

取っ手

ケースを持ち運ぶときは、抱えてしまうこともあるでしょうが、多くの場合、取っ手を利用します。
ケースが小さい場合は、あまり考えなくてもよい事ですが、大きなケースを運用するには、取っ手を取り付ける位置や角度、その数量といったものが非常に重要なポイントになります。キャスターのついている大きなケースなどは、持ち上げるための取っ手だけでなく、引っ張るための取っ手も必要になります。
設計段階での細かい打ち合わせが必要です。

底鋲

底鋲には、ゴム足と鉄鋲があります。
ゴム足は多少の防振効果や対衝撃効果があります。また、ケースを置いたときに滑りにくいので、トラックなどの輸送の際、荷室でケースが遊ぶことが少なくなります。しかし、逆に滑りにくいためにトラックの荷室や棚などで、ケースを滑らせて移動させたいときに邪魔になることもあります。また、無理に滑らせて移動させると、ゴム足が減り、悪くするともげて取れてしまうこともあります。
もちろん、アルモアケースは、そのようなアクシデントがあっても、代わりのゴム足さえあれば簡単に交換できるように、つめ付きナットとボルトで固定してあります。
鉄鋲ではそのようなことがない代わりに防振効果はありません。
大きなケースでは、底鋲の代わりにベニヤ板を打ち付けることもあります(舟と呼ぶこともあります)。
トラックの荷台や楽屋などを滑らせて移動するのに便利です。
いずれにしても一長一短、用途に応じて使い分けることが必要です。

キャスター

重量のあるものを運搬するためのケースには、通常キャスターを取り付けます。
キャスターは固定式のものと、自在式のものがあります。ケースでは通常自在式のものを4輪取り付けます。スーツケースなどに見られる、2輪固定式と2輪自在式の組み合わせのものは、一見、取り扱いしやすそうな感じがしますが、使ってみると意外ということをきかず、不便を感じます。
また、キャスターには、ストッパーがついているものもあります。自在ストッパーキャスターには大きく分けて2種類のものがあります。ひとつはタイヤの部分の回転だけを止めるもの。もうひとつは、タイヤの回転と自在部分の回転を止めるものがあります。タイヤだけの回転を止めるストッパーは、自在部分はフリーで、回ってしまいます。また、ストッパーロックハンドルがシーソーのような形をしていて「ON・OFF」の表示があるため、暗いところでは、ストッパーが掛かっているか掛かっていないかの判別がしづらく、掛かったまま引きずってしまい、タイヤをすり減らしてしまうことがあります。
自在部分も一緒に止めるストッパーは、ロックハンドルが棒状で、ストッパーが掛かっているかどうかの判別が容易です。
アルモアケースでは2種類揃えてありますが、通常、後者のストッパーキャスターを採用しています。
キャスターのタイヤ部分の材質は数種類ありますが、通常は、ゴム、ナイロン(ポリアミド樹脂)、ウレタンの3種類が使われます。
ゴムタイヤは弾性に優れていますが、傷や乾燥に弱く、割れてしまうことがあります。また、移行しやすく、つるつるした床などに黒い跡をつけてしまうことがあります。
ナイロンタイヤは、密度当たりの強度は金属にも匹敵し、疲労もしにくく、対磨耗性にも優れているのですが、吸水性が高く、乾燥すると脆くなってしまうようです。
ウレタンタイヤは、強度、対磨耗性に優れ、弾性率も高く、高硬度にもかかわらずゴム弾性を持っています。また、傷が入っても破壊しにくい性質があり、この3種類の中では一番優れていると言えるでしょう。
ただ、耐熱性が連続使用で80~100℃と比較的低く、耐水、耐酸、耐アルカリ性もあまりよくないようです。
アルモアケースでは通常は、ゴムタイヤを採用していますが、重量物用にはウレタンタイヤを使っています。
使用目的や用途によって、キャスターの種類もオーダーしてください。

ラックマウントケース用ラッキングアングル

ラックマウントケースには、機材をマウントするためのラッキングアングルがついています。
ラッキングアングルは国際的に数種類の規格がありますが、アルモアケースでは、日本の工業規格である「JIS」と、米国の工業規格である「EIA」をご用意しております。
JIS規格ではユニットシャーシのパネル幅が480mm、1ユニットの高さが50mm、取付穴は、穴の中心から中心までで、幅465mm、高さは50mm間隔となっています。
EIA規格は、ユニットシャーシのパネル幅が19インチ(482.6mm)、1ユニットの高さが1.75インチ(44.45mm)取付穴には、ユニバーサルピッチとワイドピッチがありますが、ユニバーサルピッチは、ワイドピッチと兼用できるため、アルモアケースではユニバーサルピッチを採用しております。
ユニバーサルピッチの取付穴は、穴の中心から中心まで幅465.1mm、高さは15.875~15.875~12.7mmの繰り返しの間隔になります。
最近では、JIS規格の機材はほとんど見られず、EIA規格が一般的なようです。
アルモアケースの通常在庫ラックケースは、すべてEIA規格です。JIS規格のものは、特注となりますので、JIS規格のケースをご注文の際は、その旨ご指定ください。
ラックマウント用ビスも常時在庫しております。

サポート用ラッキングアングル

ユニバーサルEIAラックアングルに、サポートステーやスライドレールなどの補助金具を、容易に取り付けられるようにしたものです

その他の金具

アルモアケースでは、上記以外にも、さまざまな条件に対応する多くの金具を扱っております。
用途によって、オーダーしてください。

内装

本体保護に最も重要なのは、内装です。せっかく外装がしっかりしていても、内装が適当では、何もなりません。アルモアケースでは、多くのデータや、実験、また豊富な経験により内装をデザインします

スミ塗り

ラックケースやケーブルケースなど、特に内装の必要のないものは、表面材の内側を墨塗りします。墨塗りすることによって、ベニヤ表面を補強します。

メルトン張り

ケースの内側に黒いメルトン(布)を張ります。
もちろんケース内側の化粧の意味もありますが、ベニヤにメルトンを張ることによって、ウレタンなどの緩衝材を貼り付けたときに、はがれにくくする役目もあります。ベニヤとウレタンは相性が悪く、はがれやすいのですが、メルトンとウレタン、メルトンとベニヤはそれぞれ相性が良いので、メルトンに、ベニヤとウレタンの仲介役になってもらうわけです。

フレンチパイル張り

ケースの中や、スライド引出しの表面に、黒いフレンチパイル(布)を張ります。
フレンチパイルは、ソフトな風合いがあり高級感があります。
また、生地の織り方が特殊で、マジックテープのメス側の役目をします。
軽い機材を、ケースや引出しの任意の場所に、取り外しが可能なように貼り付けておきたいとき、本体側に両面テープの付いたオス側マジックテープを取り付けておけば便利です。

ウレタン張り

ウレタンの種類は数多くありますが、アルモアでは通常6種類のウレタンを使用しています。色はどれも黒または黒に近いグレーのものになります。
ウレタンは、ケース外部からの力をやわらげるためには、不可欠なものです。かといって使用方法を間違えれば、衝撃を吸収するどころか、かえってケースに入る本体に悪影響を及ぼす可能性もあります。本体についているスイッチ類や、コネクター類、本体のやわらかい部分などに注意してウレタン張りのデザインをしなければなりません。本体の重量や受ける面積、機材の性質よってウレタンの種類を選択しますので、設計には多くの情報や経験、細かな打ち合わせが必要です。

LD45 硬めのウレタンです。発砲スチロールよりは衝撃吸収性・耐久性に優れていますが、スポンジのような柔らかさはありません。多くの場合このウレタンを使用します。
B4ウレタン ちょうど耳たぶのような弾力があり、LD45よりもきめの細かいウレタンです。重いものを、よりやわらかく受けたいときに使います。
EMV きめが粗めでやわらかいウレタンです。ガラスを使っている製品(レンズなど)やショックマウントラックケースの内張りなどに使用します。
超硬質ウレタン
(A080)
非常に密度の高い硬質のウレタンです。ウレタンなしでは不安だけど、LD45では沈んで変形してしまうような機器を保護する際に使用します。
波ウレタン
(プロファイル)
アルモアケースで使用しているウレタンの中で、最もやわらかいウレタンです。食器洗いスポンジに近いやわらかさがあって波状になっており、ミキサーのフェーダー面などの複雑な突起も全面で押えることが可能です。
B300AS 帯電防止のウレタンです。色はグレーに近く、硬さはB4ウレタンに近いです。基盤など静電気に弱い機器を保護するために使用します。

ゴム張り

黒いゴム板です。
少ない面積で重量物を受けなければならないときに使います。

アルミ板張り

スモークマシンのような油やその他の液体などが漏れやすいものは、ケース内部を汚し、悪くするとケースの寿命を短くしてしまいます。そのような場合には内側にアルミ板を張ります。もちろん、ケースの補強にもなりますが、ベニヤや布と違い、アルミは液体を吸収しないので、拭き取るだけできれいになります。

オリジナル耐衝撃、耐振動システム

アルモアハードケースは外見が丈夫そうなので、手荒く扱われることが多々あります。
一般運送会社の路線便や、機材混載トラック、海外向けの輸送等で精密機器を運ぶときは、通常の内装では少し心配です。そのよう場合、アルモアオリジナル耐衝撃、耐振動システムがお役に立ちます。

2重構造 固めのA8ウレタンと、やわらかいウレタン(SC、44M4U、16等)をは張り合わせて使用します。外からの衝撃を、まずやわらかいウレタンで受け、受けきれない強い衝撃を固めのウレタンで受けます。
やわらかいウレタンはこすれや衝撃で破損しやすいのですが、比較的破損しづらい固めのウレタンが本体側にあり、ウレタン自体の破損も防いでいます。
ラブロック
(防振ゴム)
ベルギー製の防振ゴムで、振動吸収性に優れています。
アルモアで通常使用しているのは「タイプ40」で、1㎠あたりの耐荷重は1~3kg、振動吸収率は固有振動数が30Hzの場合、1枚敷きで最高95%、2枚敷きで98%、3枚敷きで99%。
詳しくは、お問い合わせください。
3重構造 耐衝撃性に優れた2重構造と、振動吸収性に優れたラブロックとの組み合わせです。
主にキャスターのついているケースの底敷きに使用します。
特に衝撃や振動に弱く、重量のある機材(大型のサーバー等)に最適です。

これらのシステムは、ただ闇雲に構造自体を使用しているのではなく、ケースに入る機材の重量や形状、使用状況をしっかり把握した上で、多くのデータや実験に基づき、その使用量を割り出して設計いたします。

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